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永田ゆにこのブログです

在宅勤務開始でリモートマネジメントについて考えたこと・取り組んだこと

今年のはじめからじわじわと始まったコロナ禍。4月上旬より、弊社も徐々に自宅勤務に切り替わりました。

現在はとある部のマネージャーをしていますが、「チームと物理的に離れて働く」という経験をするのも、リモートを中心としたマネジメントに取り組むのも初めてです。

約2ヶ月ほど続いた在宅勤務期間の中で、リモートでのマネジメントについて考えたこと・チームに取り入れたことなどを、言語化しておきたくまとめてみます。

目次

【前提整理】各メンバーの就業環境がバラバラになってしまった

急遽、なし崩し的に在宅勤務が始まったことにより、就業する環境が人それぞれとなりました。

在宅勤務の快適さを左右する要素は、大きく分けて「自宅の環境」「自宅の設備」「職種」「個人の性格」があり、快適度はこれらの掛け算によって決まると思います。各項目の中にも「まだマシ」から「かなり深刻」というのグラデーションがあるんじゃないでしょうか。

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在宅勤務で「これまでと同じ業務」を行い、快適と感じるか不便と感じるかは、当然その要素によって変わるため、「在宅勤務が超快適」という人もいれば「在宅勤務つらい」と言う人もいるのは当たり前のことだと思います。

環境の違いによるパフォーマンスのバラつきは想定できたので、各メンバーがすぐにこれまでと同じ成果を出せるとは思わないようにしました。そして「在宅がこれからの働き方」と決めつけたニュアンスも避けようと思いました。

別々の環境になっても、メンバーがこれまでと同じようなパフォーマンスを出せるようになるには、どんなサポートをしたら良いか。同チームのマネージャーたちと一緒に考えていきました。

何からすればいいのかを考える

在宅勤務になり、快適に思っている人も、やりづらくなった人も、両方いるのでは?

そう仮説を立てましたが、本当のところメンバーの皆さんはどう思っているのだろうか?まずはメンバーの状況把握から行うことにしました。

在宅勤務開始から二週間ほど経過した頃、Googleフォームで個人的なことには干渉しない程度のアンケートを作成し、皆さんに回答してもらいました。質問内容は以下です。

  • 在宅勤務での仕事の環境について(道具/空間環境/設備)
  • 在宅勤務での仕事のモチベと作業の進捗について(自身のモチベ/作業の進捗)
  • 在宅勤務でのコミュニケーションと人間関係について(社内/社外/周囲の人)
  • 在宅勤務での生活と体調について(健康面/メンタル面/生活の質)

回答結果から、通勤などがなくなり快適にはなったことがある反面、当然ながら戸惑いや試行錯誤も見られ、大なり小なり困りごとがあることが見えてきました。

具体的にどんなことに困っているのか、どんなことがつらいのか、までしっかり書いてくれるメンバーが多く、早めに課題を知ることができて助かりました。

実際に取り入れたこと

見つかった課題に対し、実際に取り入れたことをまとめてみます。(個人的な対応をしたものは除きます)ちなみにこれはわたし個人がではなく、チームのマネジメントレイヤー皆で考え、実施したものです。

1)個人の評価目標の調整

最初に行ったことは各個人の評価目標の調整です。

アンケートでは家庭の事情等で就業時間が短くなるなど、これまで同様には働けない、という回答もありました。そこでケースに応じて、期初に立てた目標に調整が必要となった目標を精査し、無理のない範囲で元の目標と同レベル、周囲と公平になるような内容や量に調整を行いました。

特定のメンバーの調整だけでなく、全メンバーの目標も各環境下での実現可能なラインに見直し、それに加えてフォローしてくれる人にはフォロー分の評価のどこに乗せられるかなどの修正もしました。

ちょうど四半期面談のタイミングだったため、それを元に2on1で相談・決定。

これにより少なくともチーム内では、コロナの影響も含めた公平な評価が可能になると思います。

2)コミュニケーション不足の解消

その他にアンケートで皆が戸惑っていたこと・課題に感じていたことは、物理的に離れたことによる社内外を含めたコミュニケーション不足です。これは弊社に限らず、多くの組織で今回課題に上がったんじゃないでしょうか。

その分をどう埋めたら良いか、以下のようなことを試してみました。

2−1)対社外のコミュニケーション:定例会で情報共有/意見交換

クライアントとのコミュニケーションの取り方や、各案件での対応が急遽リモートに変更となった時の段取りなどについては、毎週実施している定例会で、得た知見などを共有し、他の案件でも横展開できるようにしました。

困りごとなどもここに持ち寄ってもらい、他の案件でも同じようなことはないか?どう解決すればいいか?を同時に考えるようにしました。

会社と調整が必要な場合はマネージャーが持ち帰り対応しています。

2−2)対チーム内のコミュニケーション:雑談タイムを実施

ゆるく集まって立ち話的なことができるよう、現場に近いマネージャーのイニシアチブで、毎朝5分程度のオンライン雑談タイムが運用されています。

任意参加ではありますが、来る来ないも調子のバロメーターのひとつとなり、反応が薄いメンバーにはケアを心掛けるきっかけにもなります。

雑談タイムで上がった課題や懸念なども、マネジメントレイヤーに持ち寄ってもらい対策を考えたりしました。

2−3)対個人とのコミュニケーション:必要に応じた1on1の実施

これまで直接顔を合わせていたときはちょっとした立ち話で済んだことも、改めて時間を取らないといけなくなりました。

アンケート結果からの個人に対して気になることのヒアリングはもちろん、ふとした行動から何か思うことがあれば、こまめに時間を取って話すようにしています。

同じくマネージャー間でも、こんな時だからこそ時間を取り、小さな認識齟齬も見落とさないよう心がけています。

3)運動不足と休憩不足の解消

その他にアンケートでは、通勤やオフィス内での移動がなくなったことによる運動不足や、集中しすぎてしまう休憩不足などが挙げられていました。

散歩などの休憩は積極的に取りましょうということになりましたが、初めは取りづらさもあると思い、公式にアナウンスもしました。そのうちに、休憩で離席する際はグループのslackに連絡する、というルールも自然に発生し、気軽に休憩を取ってもらえる空気が作れてきたのではないかと思います。

加えて、ランチ休憩も延長可能としました。買いに行く人や作る人は、これまでのランチ休憩(1h)だとちょっと時間が短いのではないかと考え、タスクの調整が可能な場合は休憩時間を1.5h取ってOKとしました。

これは既に別のチームが実践しており、自分のチームでも取り入れることにしました。快諾してくれた上司には感謝です。

4)再アンケート実施

一度目のアンケート結果を受けていろいろ試行錯誤をしてみましたが、その後はどうだろうと1ヶ月経過後に再アンケートを実施しました。

結果はよくなった人もいれば変わらない人もいて、その理由もまた個人によるものでした。なかなか「慣れ」という一言では片付かない問題だと改めて実感しています。

新しい働き方は受け入れていかないといけなさそうなので、ずっとこういう調整をし続けていくのではないかな〜と思いました。新たに見えてきた課題には随時対応中です。

今後の働き方の希望も回答してもらったので、ワーキングアグリーメントに盛り込んだりするなど、これからのチームに反映していきたいです。

リモートのマネジメントをやってみた所感

在宅勤務を中心とした場合のチームビルディングやマネジメントを実施してみると、これまでよりもコストは増えると感じました。会えない分、見えない分、今まで以上に各メンバーの事情に気を配ったり、評価の細かい調整が必要になる印象です。

しかし、新しい働き方が増えればマネジメントも変わるべきだと思うので、これからの働き方を受け入れていくならば、そのコストも必要なものとして受け入れていくしかないのだと思いました。

アフターコロナの働き方/マネジメントのこれからを考える

緊急事態宣言が解除され「実際に在宅勤務ができたんだから、もうオフィスは必要ないのではないか」「今後はずっと在宅推奨でもいいのではないか」という意見も見られます。

でも冒頭で挙げたように、それぞれの環境の違いは各人により様々なので、在宅勤務のメリット・デメリットを一律で挙げていくのはナンセンスな気がします。

在宅勤務が可能になって便利になる人もいるし、在宅勤務だとやりづらい人も両方いて、どちらかが正ではない。この考え方は、常に忘れずにいようと思っています。

そもそも、出社・在宅「どちらがよい」ではなく、これからは「どちらも選べる」が理想的になっていくんじゃないでしょうか。事情がある日、人混みの中を通勤するのはつらい日、大雨の日など、在宅で働く方がいい日も往々にしてあります。もちろんその逆もあります。

その理想を実現させるならば、当然マネジメントコストや評価の難易度やコストも上がると想定されますが、できることからトライして最適化していければ、新しいマネジメントの形も見えて来る気がしました。

働き方の選択肢が増えても、チームのパフォーマンスや評価の公平性を守っていくのが、これからのマネージャーの役割になっていくと思います。

最後になりますが、今回この混乱の中、チームのマネジメントについて一緒に考え、実行できたことを、上司・マネージャーの皆さん、メンバーの皆さんに感謝します。よいチームで働いています。ありがとうございました。